森と生き物たち

クマが支える森の豊かさ

樹木図鑑作家林将之

●クマは危ない動物?

私は樹木図鑑作家として長く自然とかかわってきました。その立場から、今回は特にクマにフォーカスしつつ「森と生き物たち」というテーマでお話しします。

2000年ごろから、人前に姿を現すクマが多くなってきました。クマがかかわる事故も年々増加し、最近では行政の駆除方針が強化されてきています。

その一方で、クマは70年前には九州で姿を消し、四国でも絶滅寸前になっている貴重な動物でもあります。クマの出没や駆除についての報道などを見ていると、まるで絶滅させてしまいたいかのような論調も感じられて、困惑することも多いです。

そもそもクマはどのくらい恐ろしい生き物なのでしょうか。



林将之

樹木図鑑作家

【はやし まさゆき】樹木図鑑作家・環境ジャーナリスト。1976年山口県生まれ。千葉大学園芸学部卒。『葉で見わける樹木』(小学館)、『樹木の葉』(山と溪谷社)、エッセイ『葉っぱはなぜこんな形なのか?』(講談社)など著書多数。