非行少年たちに寄り添って

乳幼児期に戻る少年たち

スクールカウンセラー/元福岡県警少年育成指導官堀井智帆

平成15年から、私は福岡県警の「少年育成指導官」になりました。

そこで出会ったのは、金髪で、とがった目をして肩で風を切って歩く、一見すると恐怖を感じるような思春期の子どもたちでした。問題行動をよく起こす彼らと、私はだんだん仲良くなっていきました。

彼らが卒業生として中学校の卒業式に出席した後、特攻服に着替えて彼らだけで集まり、写真を撮ったことがありました。

私もそこに加わって一緒に写真に写りました。

彼らはなぜあんな格好をするのか? それは、「俺はここにいるぞ!」という主張です。

問題行動を起こす子たちと数多く関わってきて私が感じたのは、「彼らはいつも親や社会の大人たちにSOSのメッセージを送っている」ということでした。

だから大人は、彼らの行動を責めるだけではいけないのです。

「彼らはなぜ問題行動を起こすのか?」と、行動の背景にある問題を探っていく姿勢が必要です。

「愛情の反対は無関心」という言葉があります。

彼らにとって、自分に関心が向けられていない状態が一番つらいのです。

だから彼らは特攻服のような突拍子もない格好をして「俺はここにいるぞ!」と主張するのです。

私は、まず彼らに寄り添うところから始めていきました。



堀井智帆

スクールカウンセラー/元福岡県警少年育成指導官

【ほりい ちほ】1977年、横浜市に生まれる。児童養護施設勤務を経て、福岡県警察本部北九州少年サポートセンター勤務。延べ2,000人の非行少年に向き合う。2020年10月、NHKテレビ『プロフェッショナル 仕事の流儀』に出演、大きな反響をよぶ。2022年、同センターを退職。現在はフリーの立場で子ども相談、講演活動などを行う。著書に『非行少年たちの神様』(青灯社)がある。