圧倒的他者と対話する

脱過激化支援をゆく

NPO法人アクセプト・インターナショナルコミュニケーション局長山﨑琢磨

私は今、「アクセプト・インターナショナル」で職員として働いています。この団体は、暴力的過激主義の予防や脱過激化、そして武力紛争の解決をめざして活動する、日本では数少ない平和構築専門の団体です。

「Accept(アクセプト)、受容する」という名の通り、紛争地で武装組織に関与せざるを得なかった若者や子どもたちを受け止め、社会に戻すための支援を行っています。

現在の主な活動地域は、ソマリア、ケニア、イエメン、インドネシア、パレスチナなど、アフリカや中東、アジアの各地に広がっています。

2011年、ソマリアで深刻な大飢饉が発生し、雨が降らず家畜も食糧も失われ、年間26万人もの人々が命を落としました。その中には5歳未満の子どもや妊産婦も多く含まれていました。

その報道があった時、当団体の代表・永井陽右(ようすけ)はまだ大学1年生でした。

永井はそのニュースに衝撃を受け、「なぜ世界はソマリアに十分な支援を届けられないのか」と疑問を抱きました。

当時のソマリアは治安が極めて不安定で、日本を含む多くの国は支援したくても近づけない状況にあったのです。

それでも「何かできることがあるはず」と考えた永井は、学生の身で団体を立ち上げ、文字通りゼロから活動を始めました。

模索を続ける中で、永井はソマリア人ギャングの若者との対話を通じた社会復帰支援を開始しました。私も当時から参画し、最終的には地域三大ギャング組織の解散に成功しました。

小さくても紛争解決を実現できた実感が、2017年のNPО法人化へと繋がり、現在の活動へと発展しています。

私たちが今アプローチしているのが、ソマリアのイスラム過激派組織「アル・シャバーブ」や、アメリカ同時多発テロの実行犯「アルカイダ」などの武装組織です。



山﨑琢磨

NPO法人アクセプト・インターナショナルコミュニケーション局長

【やまざき たくま】慶應義塾大学法学部アフリカ政治専攻卒。大学時代にボスニア・ヘルツェゴビナで虐殺犠牲者の遺族と出会った経験から紛争解決の道を志し、2016年からアクセプト・インターナショナルに参画。ケニアやソマリアでは、ギャングやテロリスト受刑者の脱過激化支援や社会復帰支援などを7年以上にわたって担当。現在は、海外での経験を活かし、日本国内で賛同者を増やす活動を展開している。