生きる勇気を与える葬儀社

葬儀で伝える 愛と感動

株式会社ティア 代表取締役社長冨安徳久

大学入学前のアルバイトで偶然出会ったのが葬儀業界でした。この出会いが私の人生を変えました。

初めての葬儀の現場はとても衝撃的でした。大切な人を亡くす悲しみをどう受け止め、どう支えるか。そんな重い責任を感じました。

当時18歳の私は、大学進学を辞退し、ある葬儀社に就職しました。

数か月が経ったある日のこと、警察から一本の依頼電話が来ました。

ひとり暮らしの老人が、死後何日も経ってから異臭により発見され、警察医による検視が終わったのでアパートに棺を持参するようにとの依頼でした。

現場の部屋の前に近づくにつれ、いたたまれない臭いが鼻につきました。ご遺族ですら廊下に待機され、ご遺体に近づこうとはしませんでした。

私と先輩は、警察とご遺族にあいさつし、棺を二人で持ち上げながら部屋に入りました。

先輩の指示に従って作業を始めた私でしたが、途中で無意識に何度か、ご遺体から目を背けることがありました。

警察やご遺族ですら手を差し伸べることを躊躇するほどご遺体の損傷は激しく、腐敗も始まっていました。

戸惑う私を見て先輩は、「しっかりしろ」と目で訴えました。

でも私は、強烈な臭いと目に飛び込んでくるご遺体の状況にどうしても耐えられず、作業する手に躊躇が見えたのだろうと思います。



冨安徳久

株式会社ティア 代表取締役社長

【とみやす のりひさ】1960年愛知県生まれ。18歳で葬儀社に就職。2年半の勤務後、静岡県内の葬儀社へ転職。25歳の時、「生活保護者の葬儀を行わない」という会社の方針に納得できず、起業を決意。1997年株式会社ティアを設立。その後葬祭フランチャイズ事業を展開。『最期の、ありがとう。新・ぼくが葬儀屋さんになった理由』(㈱WonderNote)など著書多数。