パッケージのちから

ただの“袋”じゃない!パッケージの本質

(株)パッケージ松浦 代表取締役社長 パッケージマーケッター®松浦陽司

パッケージ松浦は1988年に僕の両親が徳島県で創業した会社です。

僕はパッケージ関係の会社に5年勤めた後、将来的に会社を継ぐつもりで27歳の時に入社しました。

当時は商品を包装する袋や箱、シールなどの包装資材をメーカーから仕入れて売る卸売を中心に行っていました。

父の教えは、「とにかく頭と価格を下げて勝負してこい。それが卸売業や」というものでした。

それで僕も「安くしますから注文してください」と頭を下げて営業していたのですが、「よそのほうが安いぞ。〇円にせんかったら切るで」と買い叩かれたり、「松浦くんの会社はゴミを売っているようなものだね」と言われたりしました。

確かに袋を破って中身を食べたら、包んでいた袋は捨ててしまいます。だから僕も「うちは『ゴミ製造業』で『環境破壊業』なんだ」と思えて、仕事が嫌になっていきました。

2011年、そんな僕に大きな転機が訪れました。東日本大震災が発生し、袋の原材料を作る工場が被災した影響で、取引先への納品が数か月滞ってしまったのです。

僕は自分が担当していたお饅頭屋さんから、「このままでは出荷が止まってしまいます。何とかしてもらえませんか」と言われました。



松浦陽司

(株)パッケージ松浦 代表取締役社長 パッケージマーケッター®

【まつうら ようじ】1974年徳島県生まれ。広島大学理学部物性学科卒業。2002年パッケージ松浦入社。05年代表取締役就任。11年より数多くのヒット商品のパッケージ調査を開始し、750を超える事例から「売れるパッケージ」の共通項を発見。現在は顧客とともに売上を伸ばすための商品開発や、パッケージ資材の提案などを行っている。著書に『売上がグングン伸びる パッケージ戦略』(合同フォレスト)ほか。