AI新時代と私たち

人はなぜ人工知能を恐れるのか?

京都橘大学工学部教授/情報学教育研究センター長松原仁

AIは、「アーティフィシャル・インテリジェンス」という英語の頭文字をとったもので、「人工知能」と訳されます。

コンピューターが誕生したのは1940年代半ばです。当初は「数を早く正確に計算する機械」として発明されました。

AI研究の最初のブームは1950年代に訪れます。

「コンピューターはもっと賢いことができるはずだ」と考える研究者たちが現れ、コンピューターで人間の知能を再現しようとする研究が始まりました。

しかし、当時のコンピューターの性能はまだ低く、期待通りの成果をあげることはできませんでした。

2回目のブームは1980年代です。私が情報系の大学に入学したのはその少し前の1970年代後半でした。

このブームで注目を集めたのが「エキスパートシステム」です。特に医療診断システムが普及しました。

症状などのデータを入力すると「これはどんな病気か、どんな薬を処方すべきか」を教えてくれるものです。

ただこれは、「新米の医師よりは優秀だが、ベテラン医師には及ばない」といわれるレベルで、課題もいくつかあったために、それほど長くブームは続きませんでした。

こうしてAI研究の2度目のブームも、冬の時代を迎えていきました。



松原仁

京都橘大学工学部教授/情報学教育研究センター長

【まつばら ひとし】東京大学大学院情報工学専攻博士課程修了。通商産業省工業技術院電子技術総合研究所(現産業技術総合研究所)、公立はこだて未来大学教授、東京大学教授を経て現職。専門は人工知能。ゲーム情報学、観光情報学研究に取り組む。『鉄腕アトムは実現できるか?』(河出書房新社)『AIに心は宿るのか」(集英社インターナショナル)など著書多数。