龍星に訊く現代の霊性
立教大学名誉教授濁川孝志
僕は大学教員として、「トランスパーソナル心理学」の研究に長年携わってきました。
この心理学は、個(パーソナル)を超えて(トランス)、人々は皆、潜在意識で繋がっているという発想をベースにした学問分野です。
僕がずっと研究してきたのは、個人的体験としての「霊性」を中心に据えながら人が生きる意味を探求していくというものです。
霊性について僕は、「悠久の時を超えて繰り返される大自然の営みに畏怖(いふ)を覚え、樹木や動植物、さらには山や川や風などにまで、ある種の神性を感じ取るような感性」と考えています。
「お天道様が見ている」「日々、生かされていることに感謝」「年長者やご先祖様を敬う」とか、そういうことです。
また、花のきれいさ、色の鮮やかさなど、自然を見て感動したり喜びを感じたり、そのような自然へのまなざしもそうです。
今でも世界の先住民族はこうした霊性を大事にしながら生活しているし、かつての日本人も豊かな霊性の中で暮らしてきました。
例えば縄文時代の人々は、大きな争いをすることなく、何千年も平和な社会を維持してきたといわれます。きっとこの霊性を大切にしていたからだろうと思います。
それらの時代と比べると現代は、明らかに霊性が欠如しています。僕にはそれが現代における多くの問題の根本原因になっている気がしてならないわけです。
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立教大学名誉教授
【にごりかわ たかし】1954年新潟県生まれ。立教大学で30年以上にわたって教鞭をとり、学生たちに霊性(スピリチュアリティ)について真摯に語りかけていた。「霊性の喪失が現代社会のさまざまな問題を生み出している」という確信から、数々のシンポジウムやイベント、講演会を通して霊性の重要性を訴えている。著書に『龍星の羅針盤』『星野道夫 永遠の祈り』『ガイアの伝言 龍村仁の軌跡』『大学教授が語る霊性の真実』(でくのぼう出版)などがある。
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